2016/09/15 所澤神明社 秋季例大祭
埼玉県有形民俗文化財 竹間沢里神楽 前田社中(入間郡三芳町)
M3490010

「紅葉狩」

平の維茂は美しい紅葉を眺めながら盃を重ねておりますと、大勢の供をつれ妖艶なる美女が何ともなく現れ維茂の宴に加わりました。
維茂は姫に舞を舞うように申し付けます。快く承知した姫は紅葉の枝をあしらいながら妖艶に舞を舞います。
維茂はその舞の美しさにうっとり我を忘れ、いつしか深い眠りに入ってしまいました。これを見た姫の美しい顔が急に見るからに恐ろしい形相となって維茂につかみかかろうとします。そして又、姫の姿に何度となく変身。維茂に襲いかかろうとしますが維茂に隙がございません。鬼女はしかたなく退散しますと元の静寂に戻ります。すると山の神が現れ、「かの姫こそ戸隠山の鬼女なり。汝この場に長居せば命あやうし」と告げます。
神のお告げに驚いた維茂は従者を引きつれ鬼女の後を追い、目出度く鬼女を打ち滅ぼします。美しい姫からおそろしい鬼女に変身する様を里神楽独特の手法をもって演じます。
(当日配布プログラムより) 
この演目は能の同名の曲(演目)をもとに取り入れられた演目で近代物と呼ばれるジャンルに分類されます。能楽より振りや運びは芝居がかっており、面芝居の名残を匂わせる演目となっています。里神楽独特の演出としては替え面と呼ばれる手法によって、姫と鬼女が早変わりする演出にあります。これは既存の「黄泉醜女」より取り入れたと言われており、姫の優雅な舞やもどきの運びの段を加え、より豪華な演目として仕立てられています。