2015/1/25 亀戸 天神社 初天神(江東区)
東京都・江東区指定無形文化財 東都葛西神楽保存会 岩楯美よ志社中(江戸川区春江)
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「天之返矢」
前段の「菩比神使」に続く連作の中段にあたる物語です。前段で高天原(天界)へ葦原中津国(地上)を奉還するよう、大国主命の元に天菩比命を送るも策略に嵌り、敗れ帰参する。そこで高天原から二人目の神である天若彦が遣わされる。神々より授かりし天之麻迦古弓と天之波波矢を携えて勇ましく大国主の元へと推参します。天若彦は大国主に国土を高天原に奉還する様求めますが、聞き入れられず、遂には決裂し互いの武具に手をかけますが、大国主の娘の下照姫と侍女の天探女の仲裁をもってその場は治まる。天若彦は袖をひく下照姫にすっかり惚れ込んでしまい、遂には戦意を失い中津国に居ついてしまいます。天若彦が一向に帰ってこない事を不審に思い高天原から雉鳴女に様子を伺に遣わす。天若彦に己の任を全うする様に懇願するも聞き入れず。果ては天探女に「あの雉は大層不吉に鳴きます。あなたの弓矢をもってして射殺してしまいなさい」と唆され、雉女に矢を放ってしまいます。射ぬいた矢は高天原に届き、血の付いた波波矢を見て神々は「若彦に逆心を持ち射た矢ならば若彦に当たれ、若彦が悪しき神射た矢ならば当たるな」と投げかえします。投げ返された矢は天若彦を射ぬき、天若彦は南無三と絶命してしまいます。
神の絶命と言う祭事に似つかわしくない結末の神話であり、里神楽ではタリと呼ばれる滑稽な付け足しが演じられます。残された探女の元にもどきが現れ、「やい、お前の主人にお目通り願いたい」と進み出ますが探女はこれを拒む所から始まり、種々の採り物を使った“見立て”のやり取りが演じられます。
特に後半のタリ部分のみを「初詣」と称し一つの演目として演じることもあります。